苦節20年、ようやく幕が下りた「ある脱北者の流浪物語」

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30代後半のキムさんは、1990年代末の大飢饉「苦難の行軍」で家族を失い、天涯孤独の身となった。

彼は食べ物を求めて脱北し、中国に向かったのは1997年のことだった。身分を隠して働くこと8年、彼はロシア行きを決心した。そこに行けば、難民資格が認められると聞いてのことだ。

ところが、彼がたどり着いたのは、ロシアではなくカザフスタンの国境だった。持っていた地図が旧ソ連時代の古いものだったのだ。国境で捕まった彼は、北朝鮮に強制送還され、収容所送りとなった。

1日に18時間も強制労働させられるのに、与えられる食事はわずかスプーンで3杯の米だけ。キムさんは生きるために再び脱北することを決心した。