北朝鮮のエリート大学生が決起した「投書事件」の顛末

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当時、金日成氏に成り代わり国の実権を握っていた後継者の金正日氏は、国家保衛部(現国家保衛省)から投書について報告を受け、何があっても全員を探し出し、極刑に処すことを命じた。

捜査に取り掛かった保衛部が目をつけたのは、同国の最高学府である金日成総合大学だ。投書が、この大学周辺の逓信所から集中的に発見され、また一般人民は知りえない体制の秘密について言及していたためだ。

保衛部は、印刷版にガリガリと文字を刻むガリ版に、筆跡が現れやすいことを考慮し、金日成総合大学の学生の筆跡調査に乗り出した。学生の生活総和(総括)ノートを回収し、投書の筆跡と照らし合わせた。中でも、「優秀学生証」を持った学生を集中的に調べ始めた。