「空腹でおかしくなった親が子を釜茹でして食べ、逮捕される事件があった」「死んだ孫の墓を掘り起こして、死体を食べた祖父が捕まる事件があった」などの証言が続出したというのである。
この話を何故いま書くかと言えば、大量餓死の原因が金正恩氏の主導した国家的イベントにあり、近くまた、北朝鮮で朝鮮労働党創建70周年(10月10日)の大イベントが予定されているからだ。
黄海南道は、100万~300万人が餓死したと見られる1990年代後半の「苦難の行軍」期においても、餓死者が最も少なかった地域だ。
権力も「人災」認める
それにも関わらず、2012年にこの地域で集中的に餓死者が発生したのは、首都・平壌で金正恩氏の「指導者デビュー」を祝う“どんちゃん騒ぎ”を数カ月にわたり続けるため、黄海南道の食糧を、権力が根こそぎ徴発してしまったからだ。