Nは海保のカウンターパートである米沿岸警備隊を通じて、米海軍特殊部隊「SEALs」にアドバイスと訓練を依頼したが、これはにべなく拒否される。SEALsの答えは、「法執行機関である海保は、SATに協力を要請すべき」というものだった。
SEALsの言い分には一理ある。同じ特殊部隊といっても、犯罪者の鎮圧を目的とするSWATなどの警察特殊部隊と、偵察や暗殺、襲撃を目的とする軍特殊部隊では、その編成や装備、訓練がまったく異なるからだ。
NはSEALsの回答に落胆したが、諦めるわけにはいかなった。海保が特殊部隊を創設できないということになれば、MOX燃料輸送の警備任務は海自や警察のSATに任せようという議論が再び起こりかねない。海保のプライドにかけて、それだけは避けなければならなかった。
日系人の「戦争のプロ」
そんな中、Nはある噂を耳にした。
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