彼の母親である康盤石(カン・バンソク)氏の名前は、新約聖書に出てくる「使徒ペテロ」にちなんでいる。さらに、金日成氏が教会に通っていたことは、彼の回顧録でも述べられている。
分断される以前の北朝鮮は、韓国よりキリスト教が盛んであり、平壌(ピョンヤン)は「東洋のエルサレム」と呼ばれていたほどだった。彼の父親が通っていた学校も、キリスト教系の学校だった。金日成氏自身も、キリスト教の影響を強く受けていたとの証言もある。
(参考記事:キリスト教を弾圧した金日成も手術前には祈っていた)北朝鮮は、社会主義国家と謳っているが、内実は金日成氏を始祖とする王朝国家であり、さらに、主体(チュチェ)思想を国教とする宗教国家の色合いが濃い。だからこそ、キリスト教に対して敵意をむき出しにするのかもしれないが、そのルーツにキリスト教が深く関わっていたとするなら、なんとも皮肉な話だ。