事故現場となった峠道は、以前から事故が絶えなかった。そこで、当局は労働者を集め、10年前から全長3キロのトンネル掘削工事を行っていた。
今年4月に貫通したものの、まだ素掘りの状態で、完成までは程遠い。しかし、現地の工事指揮本部は、とりあえず車が通行できるようにし、1台あたり1万5000北朝鮮ウォン(約195円)の通行料を違法に徴収していた。
この通行料が高いとの理由で、旧道を利用する車が後を絶たない。事故を起こしたバスのドライバーも、悪天候にもかかわらず通行料を節約するために旧道を利用し、事故を起こした。
この峠道では、数年前にも平壌での会議を終えて地元に戻る咸鏡北道の市・郡の幹部を乗せたバスが谷底に転落し、数十人が死亡する大事故が起きている。ドライバーの間では、「魔の山道」として知られていた。