自分の兄まで「公開処刑」…正恩氏が「その瞬間」を見たかった理由

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北朝鮮ではこれまで、最高指導者の地位をめぐっていくつかの権力争いがおきた。金正日氏は、父・金日成氏の弟、つまり叔父の金英柱(キム・ヨンジュ)氏、そして母親違いの弟である金平日(キム・ピョンイル)氏との後継者争いに勝利し、最高指導者に登り詰めた。金正日氏と金平日氏との後継者争いは、母親違いという点で金正男氏と金正恩氏の争いにも通じるものがある。

ただし、いずれの後継者争いにも勝利した金正日氏は、二人に手をかけることはなかった。金英柱氏は権力こそないものの最高人民会議常任委員会名誉副委員長として生存している。金平日氏は、北朝鮮にいることはできないが、海外で大使として健在だ。さすがに金日成氏の血を引く身内にまで手を出せなかったのだろう。

しかし、金正恩氏は北朝鮮の権力闘争史上、はじめて金日成氏の血を引く身内に手をかけるというタブーを犯した。例え白頭の血統を継ぐ者であろうと、自分にとって好ましくない人物、または不安材料になり得る人物を、あたかも公開処刑のような形で消し去る金正恩氏の残虐性はエスカレートする一方である。