しかし長年の習慣からか、北朝鮮の人びとは配給に期待する気持ちを持ち続けていて、それが時に暴走することもある。太陽節(故金日成主席の生誕記念日)を控え、特別配給があるとの噂が立ち、人びとは期待に胸躍らせた。ところが、配られたのはありふれたもので、中には傷んだ魚も含まれていたため、人びとから激しくけなされる始末となった。
昨年5月の朝鮮労働党第7回大会に際しては、「全国民に、45インチの高級液晶テレビなどの高級家電が配られる」という荒唐無稽な噂が立ってしまった。
全国の小学生に特別配給として配られたお菓子セットは不味いと大不評で、市場で二束三文でたたき売りされた。これでは金正恩党委員長の面目丸つぶれだ。情報もモノもなかった1980年代以前とは異なり、草の根市場経済の進展で様々な商品が出回るようになった今の北朝鮮の人びとを配給で満足させるのは至難の業だろう。
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