韓国紙・中央日報は12日、北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋の話として、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長が朝鮮労働党からの「出党」(追放)処分を受け、金元弘(キム・ウォノン)同第1副局長が政治犯収容所に収監されたと報じた。
事実なら、金正恩党委員長の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長の処刑に次ぐ「大型粛清」につながる可能性がある。
黄炳瑞氏と金元弘氏については、韓国の情報機関・国家情報院(国情院)が11月20日、国会情報委員会で、朝鮮労働党組織指導部が軍総政治局の「不純な態度」を問題視して検閲を実施。その過程で、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長や金元弘(キム・ウォノン)第1副局長をはじめ、相当数の幹部が処罰されたもようだと報告していた。しかしどのような罰を受けたかは、詳らかにされていない。
北朝鮮の高位幹部が「革命化(再教育)」などの処分を受けるのはよくあることで、一時的に過酷な体験をするとしても、場合によっては復帰も可能だ。実際、一時的に消息の途絶えていた金正恩氏の側近が、ガリガリに痩せた姿ながら、公式メディアに再登場した例もある。
(参考記事:側近「激ヤセ写真」に見る金正恩式「再教育」の恐怖)人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真
しかし、「出党」となると話は別で、政治生命はほとんど絶たれたも同然となる。その上、政治犯収容所に送られてしまうと、生きて出てこられる可能性はほとんどなくなる。ましてや、金元弘氏は収容所の運営や公開処刑を担当してきた国家保衛省(秘密警察)の元トップである。例えるなら、日本の警察庁長官が刑務所送りになった、いや、ナチスドイツの親衛隊トップがユダヤ人強制収容所に送られたようなものである。
(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」)また、軍総政治局長と元国家保衛相という大物2人に不正があったとすれば、そこに連座させられる人数はハンパな数ではなかろう。1980年代に2万人以上が粛清されたとされる「深化組事件」の再現すら懸念される。
(関連記事:血の粛清「深化組事件」の真実を語る)韓国政府は今のところ、メディアの取材に対し「確認された事実はない」とコメントしている。今後の北朝鮮内部の動向に注目である。