ところがある日のこと、大家のおばあさんが何者かにより殺害された。それも、果物ナイフで12ヶ所を滅多刺しにされ、電話コードで首を絞められるという極めて残忍なものだった。
事件の容疑者として逮捕されたのは、その家に住んでいたチョンさんだった。連行されたのは、事件が起きた大城区域の保安署(警察署)ではなく、隣接する牡丹峰区域の保安署で、事件を担当したのは、人民保安省予審局上級参謀のパク・ソンイル上佐、殺害されたおばあさんの娘と内縁関係にあった人物だった。チョンさんを容疑者として通報したのはこの娘だった。
逮捕当日、チョンさんはパク上佐のオフィスに連行された。そして「お前がやっていないのは知っている。罪を軽くするか、場合によっては無罪にしてやる」と告げ、レイプした。そして「今日のことは誰にも言うな」「言えば命はないと思え」と口止めした。
この事件を知らせてきたチェさんは言及していないが、パク上佐は、内縁の妻を通じて、チョンさんの両親が咸鏡南道の労働党の幹部であることを知り、性上納、金品の上納を迫る目的で、内縁の妻にわざと通報させた可能性がある。つまり、グルだったかもしれないということだ。容疑者から暴力を振るいカネを巻き上げるのは、北朝鮮の悪徳警官の常套手段だ。
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しかし、チョンさんは性的暴行にも拷問にも屈さず、身の潔白を訴え続けた。業を煮やしたパク上佐は、戒護員(留置係)に指示して、次のような拷問を加え続けさせた。