北朝鮮の国民経済は、今やほとんど資本主義化しているのだが、そのきっかけも「苦難の行軍」にあった。たとえば北朝鮮政府は2002年7月1日、限定的ながら経済改革を実施した。それまで非合法だったヤミ市を自由市場として公営化し、国民の個人事業を認めたのだ。「苦難の行軍」の中、食糧難で国家が配給制度を維持できなくなり、国民に自立を促さざるを得なくなったことが背景にあった。
その結果、庶民は少しずつだが私有財産を手にし、自由を楽しむようになった。自由は人々のライフスタイルの多様化、消費者ニーズの多様化につながった。
(参考記事:北朝鮮に「ブラジャー」がもたらした意識変化)そしてそれがまた「草の根資本主義」の発展を促している。近年、海外ドラマのDVDが闇ルートで北朝鮮国内に広まり、爆発的な人気を呼んでいるのもその結果だ。
だが、北朝鮮政府とて、この流れを指をくわえて見守っているわけではない。なし崩し的に社会変革が起きることを警戒し、規制をゆるめたり強めたりしながら庶民の行動を統制し、同時に彼らの稼ぎを取り込もうと躍起である。
(参考記事:北朝鮮が女子高生を「見せしめ」公開裁判にかけた理由)「オヤジ越え」できるのか
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真いずれにせよ、庶民の自律的な経済活動なしに、北朝鮮という国家は成り立たなくなっている。