家も食べ物もない老人や子ども、つまりコチェビは川原の掘っ立て小屋に住んでいるが、氷点下20度を下回る寒波とひもじさで、餓死または凍死した模様だ。
餓死事件の相次ぐ発生で市民の間に不安が広がっているが、保安署(警察署)や医療機関は、光明星節(2月16日の故金正日総書記の生誕記念日)を控え、「餓死事件について一切話すな」と箝口令を敷くだけで、これといった対策を立てようとはしないという。
数十万とも数百万とも言われる餓死者が発生した苦難の行軍から20年、北朝鮮の食糧状況は大幅に改善した。市場に行けばいくらでも食糧は手に入る。しかし、農民の多くは市場から遠くはなれたところに住んでいる上に、現金収入が少ないため、自分が担当する田畑での収穫の一部を受け取って生計を維持している。だが、このシステムは大きな問題を抱えている。
協同農場の幹部は、国から農業生産のノルマを課せられる。