北朝鮮で天才ヴァイオリニストとしての名声をほしいままにしたムン・ギョンジン氏も、そのような悲劇をたどった芸術家のひとりだ。
金正恩氏の妻である李雪主(リ・ソルチュ)氏が所属していたことで知られる銀河水(ウナス)管弦楽団は2013年に解散させられた。その際、9人の団員が私生活での「非行」を問われ公開処刑されている。また2年後の2015年3月にも、元楽団メンバー4人が、平壌郊外の「美林ポル」という場所で銃殺されたという。北朝鮮での銃殺刑は珍しくないが、メンバーらは遺体が粉々になり原型をとどめないほど凄惨な殺され方をしたと伝えられている。
(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」…残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認)文字通り「血の雨」を浴びながら葬り去られた銀河水管弦楽団のコンサートマスターこそが、ムン・ギョンジン氏だった。同氏は、2013年に公開処刑された9人のうちの1人だ。