デイリーNKは、2009年から概ね毎月、平壌、新義州(シニジュ)、恵山(ヘサン)のコメの値段と北朝鮮ウォンの対ドル相場を伝えているが、「コメの値段をバラしたら終身刑」発言は、このような状況を念頭に置いたものと思われる。デイリーNKの内部情報筋はコメの値段だけではなく、国内で起きた事件、事故など当局が外国に知られたくないことも伝えている。そのような事情が、当局の強硬姿勢の背景となっているのかもしれない。
北朝鮮は2015年、刑法を改正して「違法的な国際通信罪」(222条)を新設した。「違法に国際通信を行った者は1年以下の労働鍛錬刑、または5年以下の労働教化刑に処す」というものだ。講演者が語った「終身刑」は条文にないものだが、法治主義が存在しないに等しい北朝鮮では、いくらでもあり得ることだろう。
デイリーNKの対北朝鮮情報筋は、最近の取り締まり強化は、外国には援助を求めつつも、そのことを国民に知らせたり、国内事情を海外に知られては今後の首脳会談において不利になりかねないと判断してのことだろうと見ている。