【実録 北朝鮮ヤクザの世界(下)】社会主義国で「経済ヤクザ」が誕生するまで

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「1980年代中頃から北朝鮮経済の悪化によって、政府公認の商店から急速に商品が消えていった。この惨状を見たヤクザのなかには義憤に駆られて反政府活動をもくろんだ人間もいた。これを危険視した金正日がヤクザ組織に対して弾圧をはじめたんだ」

金正日氏は、「非社会主義検閲団」を組織して、ヤクザ組織壊滅作戦を開始。白氏の「パッキ派」が強いといえども、規模はせいぜい200人から300人。国家権力による弾圧にはさすがに敵わなかった。

「俺は裏のビジネスでは決して証拠を残さなかったが、『逮捕ありき』だからひとたまりもなかった。まあ、北朝鮮当局からすれば、悪行は数知れずだから」

女ヤクザ「火狐」

彼の逮捕容疑は香港のギャング映画や韓国映画、『ランボー』をはじめとするハリウッド映画などのビデオテープを保有していた「非社会主義」の容疑だった。こうしたものに触れると、西側の退廃的な文化に汚染された政治犯と見なされ、厳しい処罰を受ける。