【解説】警察庁「対総連捜査マニュアル」はいかにして作られたのか…その時代背景と「対北600億円送金」の真相

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朝鮮総連の元財務局副局長、韓光熙(ハン・ガンヒ)氏は著書『わが朝鮮総連の罪と罰』(文藝春秋)や『正論』2000年5月号のインタビュー(ただしこの時は仮名=鄭氏)の中で、送金の仕組みや規模について語っている。

韓氏の証言を要約すると、概ね次のような内容になる。

  • 日本から北朝鮮への現金持ち出しは総連の結成直後から行われて来たが、組織的な事業の体をなしたのは1979年ごろから。
  • 金日成・金正日父子の誕生日や建国記念日、党創建記念日などに際して訪朝する総連代表団は多い時で10?20億円を運ぶ。
  • 1980年代後半から90年代にかけて30回以上、自分が直接送金に関わり、1回につき1億円以上を運んだ。
  • 送金に金融機関を使うのは、主に貿易決済など合法的な取引に限られる。
  • 工業用プラントの資材、工作機械、中古自動車、テレビ、自転車、医薬品、衣料品などのモノに換えて運ぶことが多く、こちらの方が現金より巨額である可能性がある。

このような証言に基づいて考えると、総連からの組織的な送金額は、やはり「年間600億円」よりはグッと少なくなる。韓氏も自著で「『年間1000億円』などという途方もない数字が出回っているが、いくらなんでもこれは夢想、空想の世界である」と指摘している。

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とりあえず「不正送金」として問題にされていた、外為法に違反して無届のまま北朝鮮に持ち出されていた現金は、金日成主席の誕生日(4月15日)と金正日総書記の誕生日(2月16日)、建国記念日と党創建記念日にそれぞれ20億円を送ったとして、年間80億円。