とても生計を維持できないため、女性たちは市場で商いに励み、一家の大黒柱として薄給の夫と家族を養う。それにも関わらず、夫の方は、大して働きもせず、家ではタバコをふかしながらゴロゴロする。酒を飲んではくだをまく――そんなケースが少なくないのだ。
しかし、少なくとも意識の面では、北朝鮮の女性らは変わりつつあるのではないかと思う。
市場での経験を積んだ女性らの中には、日用品や食べ物などを売る「オモテ」のビジネスだけでなく、韓流ドラマのDVDなど禁制品を流通させる「ウラ」の商売に進出している人が少なくない。「ウラ」の商売は、儲かるけれどもリスクも高い。下手をすれば銃殺である。それでも生きぬくために、あるいはより豊かな生活を望み、リスクを取る女性は絶えることがない。
そんな生活をしながら、海外の情報とも接している女性らは「やってられない」とばかりに新天地を求めているのではないか。