当時、北朝鮮当局は咸鏡北道の富嶺(プリョン)郡のマヤン貯水池周辺に住んでいた37世帯の住民を連行したとのことだが、その人々はいずれも、2009年の貨幣改革(デノミネーション)失敗の大混乱により生活が成り立たなくなった人たちだった。
彼らは畑を耕したり豚や羊を育てたり、瓶を作ったりして生計を立てていた。中にはアヘン栽培を行っている人もいたという。こうした数十世帯単位の村は各地に点在しており、社会から孤立して暮らしている人は数え切れないほどいる。
何千ドルものワイロを払って商売に有利な都会や国境地帯に住もうとする人がいる一方で、政府の干渉を避けて山奥で隠遁生活を送る人がいるのが、なし崩し的に市場経済化の進む北朝鮮の現状なのだ。