金正恩氏の祖父、金日成主席は1956年12月、一日に千里を駆けるという伝説上の馬の名を取った大増産運動「千里馬運動」を提唱した。朝鮮戦争で焼け野原となった国土を、千里馬の勢いで再建するという意味合いだ。
金正恩氏の父、金正日氏は1974年2月の朝鮮労働党中央委員会第5期8次全員会議で金正日氏が「走る千里馬のようにさらに拍車をかけ、新たな千里馬速度、新たな平壌速度で疾風のように駆け抜け、(1976年までの)6カ年計画を党創建30周年(1975年10月10日)までに終えよう」と呼びかけたことをきっかけに「速度戦」という言葉が登場した。それをさらにスピードアップさせたのが、金正恩氏の提唱した「万里馬式速度戦」というわけだ。
ところが、スピードアップばかりが強調され、質はないがしろにされてきた。それが冒頭で述べたマンション崩壊事故のように、とんでもない事故を巻き起こしてきた。
(参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図)