列車がいくつかのトンネルを通過したところで、突然ブレーキから空気が漏れ、列車は制御不能に陥った。コントロールを失った列車は、急勾配の線路をまるでジェットコースターのように疾走した。「このスピードなら朝には家に帰れる」」と喜ぶ乗客がいたほどだという。
状況を把握していたのは、屋根の上に乗っていた乗客たちだ。しかし、飛び降りようにもスピードが速くて無理だった。運転士は列車を安全側線に入れようとしたが、猛スピードで走る列車はもはや統制不可能だった。
やがて連結が外れた客車は、崖を転がって数百メートル下の谷に落ちていった。谷底には凄惨な光景が広がっていた。