北朝鮮では今月10日、国会議員にあたる最高人民会議の代議員を選出する選挙が行われた。選挙とは言っても、国が決めた顔も名前も知らない候補者に賛成票を投じるだけの儀式のようなものだ。
北朝鮮には民主主義の仕組みに基づき、国民の意思を政治に反映する装置は存在しないが、だからといって同国に世論が存在しないということではない。その世論を誰よりも気にし、そして誰よりも恐れているのは、北朝鮮政府であり金正恩党委員長だろう。
先月末にベトナムのハノイで行われた米朝首脳会談が物別れに終わったとの知らせは、既報のとおり、北朝鮮国内でも急速に拡散している。これを受けて、当局は世論を抑えつけるのに必死になっている。
(参考記事:「金正恩が恥をかかされた!」首脳会談の失敗情報、北朝鮮で拡散)金正恩氏がベトナムから帰国した今月初め、平安南道(ピョンアンナムド)の人民委員長(知事)、道党(朝鮮労働党平安南道委員会)の委員長、平城(ピョンソン)市の人民委員長(市長)、市党委員長、保安局長(警察本部長)、保安署長(警察署長)が市内の玉田(オクチョン)市場を視察した。