陽徳郡鳳渓里(ポンゲリ)にある朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の部隊では、山崩れが兵舎を襲い、中隊120人全員が生き埋めになり亡くなった。これが親に伝われば騒ぎになることを恐れた当局は、被害の実態をできるだけ少なく伝えている。
水害で数十万ヘクタールの田畑が流出したことから、農業の収穫にも期待できなくなり、軍に納める軍糧米の確保にも支障が生じそうだ。金正日総書記は「来年度の軍糧米保証事業を軍部隊独自で予備を確保することについて」という最高司令官命令を下している。
一方、智水(チス)駅付近を走行中だった平壌発清津(チョンジン)行きの列車と、新義州(シニジュ)発清津行きの列車が、橋梁の流出により1ヶ月半に渡って立ち往生し、乗客のうち90人が餓死した。当局はこのことが伝わらないよう隠蔽を図ったが、遺族を通じて話が広がっているという。
脱北者の証言によると、陽徳では1997年12月中旬、平壌発クムコル行きの第3列車が、停電で4日間に渡り立ち往生した。車輪が見えなくなるほどの積雪に見舞われた上に、車内の暖房が止まり、老人や子どもなど30人が餓死または凍死した。