北朝鮮軍で「非常事態」続く…軍医ら高熱・呼吸困難で相次ぎ死亡

北朝鮮は現在まで、国内で新型コロナウイルスの感染者はひとりも発生していないと主張し続けている。

しかし、在韓米軍のエイブラムス司令官が2日、米CNNと米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、「(北朝鮮の感染者ゼロは)不可能な主張だ」と指摘するなど、実際には相当数の感染者・死亡者が出ているとする観測が強まっている。

実際、北朝鮮軍のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、軍医局は3月3日、1~2月に180人が死亡し、3700人を隔離しているとの情報を最高司令部に報告している。死者は、中国と国境を接する平安北道(ピョンアンブクト)、慈江道(チャガンド)、両江道(リャンガンド)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)に駐屯する国境警備隊で集中的に発生したという。

そして今月に入ってからは、高熱や呼吸困難を訴えた軍医らが相次いで死亡していたことがわかった。新型コロナウイルスに感染していた可能性があるという。

デイリーNKの北朝鮮軍内部の情報筋によると、死亡したのは南浦(ナムポ)市にある海軍西海艦隊司令部傘下の32号病院に勤務していた軍医3人と民間の医師1人の計4人。4月に入ってから発症し、5日までに相次いで亡くなったという。

軍当局は内部にかん口令を敷く一方で、医師らが勤務していた病棟の医療陣・患者の兵士ら合わせて70人を医薬品倉庫に隔離。また、医師らの家族も市の施設に隔離した。

前述した180人死亡の例も今回のケースも、北朝鮮にとっては「非常事態」と言えるものだ。北朝鮮の軍内部では物資の横流しや虐待が横行し、栄養失調の兵士も少なくない。免疫力も低下していると見られる。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為

医療・防疫体制が脆弱な北朝鮮は早くから、新型コロナウイルスの脅威について「国家の存亡に関わる問題」との認識を示してきた。そして実際のところ、新型コロナウイルスが北朝鮮の体制を揺るがすとすれば、それは同国で最も飢えた集団とも言われる軍から始まる可能性が高いのだ。

北朝鮮軍もそのリスクを認識し、各部隊では大慌てで対策に乗り出しているという。例えば補給を担当する後方総局は、規定通りに兵士1人あたり800グラムの食糧を供給せよとの原則を強調し、1日1回しか出ていなかったおからを3回出すという規定を定めた。

ただ、長年にわたり蓄積された組織の弱点を、短期間の取り組みでどれだけ取り繕うことができるだろうか。

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