北朝鮮は、故金正日総書記の時代から、「軍事をすべての事業に優先させる」という「先軍政治」を掲げている。ところが、軍隊の実情は惨憺たるものだ。満足な食事や居住環境が与えられないため栄養失調がまん延。生命に危機が及ぶことも珍しくない。
また、兵士の大半は銃の扱い方も教えられないまま、ダムや発電所建設にタダで動員できる労働力として使い倒される。金正恩党委員長はどうやら、核や弾道ミサイルなどに関わる一部のエリート部隊にしか関心がないようだ。
そんな実情は国民に広く知れ渡っており、親たちは徴兵年齢の子どもを守るのに必死だ。ワイロを使って比較的状態のマシな部隊に所属させ、あるいは仕送りを毎月欠かさないなど、なんとか無事に軍隊生活を終えられるように手を尽くしているのだ。
とはいえ、そんなことが可能なのは一部の富裕層に過ぎない。親の財力に守ってもらえない幼い兵士たちがどうなるかと言えば、栄養失調に倒れるか、さもなくば「生存本能」に従って犯罪に走るしかなくなるのだ。
上官の性的暴力も
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真中国との国境に接する両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、今月初めにも道内の豊山(プンサン)郡で、第12軍団隷下の43旅団に所属する兵士3人が凶器を持って民家に押し入ったという。また、脱走した兵士らが中国へ逃れ、現地で強盗を働く事件も後を絶たない。
(参考記事:「馬賊」となり民間人を襲う北朝鮮軍の兵士たち)女性兵士らの状況はさらに深刻だ。