北朝鮮に到着した彼女は、熱狂的に迎えられた。しかし、林秀卿氏を利用して、北朝鮮の優位性を宣伝しようとする当局の狙いに反して、彼女の言動は予想外の後遺症を引き起こすことになる。
まず、白いTシャツにブルージーンズ(北朝鮮住民はマンボズボンと呼んだ)というファッションは、住民の注目を引いた。さらに「北朝鮮の体制にも問題がある」という歯に衣着せぬ発言や、故金正日氏から受け取ったプレゼントを平気で置き忘れるという行動は、ひたすら地味に暮らしてきた北朝鮮の人々に大きな衝撃を与えた。
彼女の存在は「自由」の象徴となり「南朝鮮(韓国)は米帝の支配を受けて人民は苦しんでいる」という当局のプロパガンダに、北朝鮮の人々が疑問を持つきっかけとなった。
林秀卿氏は、38度線を越えて韓国に帰国したが、その後の処遇も衝撃を与える。