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脱北者支援の牧師殺害、背後に孤児ねらう「臓器密売」組織か

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中国吉林省の長白朝鮮族自治県で、脱北者の支援を行ってきた牧師が殺害されてから3ヶ月が経った。北朝鮮の国家安全保衛部(秘密警察)の仕業との見方が支配的だが、動機を巡っては謎も残る。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は可能性のひとつとして、違法な「臓器売買」との関連を指摘している。

事件が起きたのは今年4月30日。長白教会の韓忠烈(ハン・チュンニョル)牧師は、その日の午後に何者かに呼び出され外出した。しかし、夜になっても帰らず、心配した家族が中国公安当局に通報した。

捜索の結果、韓牧師は午後8時ごろ、山の中に停められていた自身の車の中で遺体となって発見された。携帯電話などの持ち物はすべてなくなっていたという。現地の公安当局は捜査に乗り出したが、具体的な捜査状況や結果は明らかにされていない。

「見せしめ」か

韓牧師は、国境を流れる鴨緑江を挟んで向かい合う、北朝鮮・両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市からやって来る脱北者に様々な支援を行ってきた。

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そのため、脱北者支援に対する「報復」「見せしめ」として、北朝鮮当局によって殺されたのではないかと疑われている。

しかし、韓牧師をよく知る現地の情報筋は、そのような見方に疑問を呈している。

確かに彼は脱北者への支援を惜しまなかったが、あくまで受け身の人助けであり、韓国に送り出したり、匿ったりするなど、中国の法に触れる行為は行っていなかったという。北朝鮮側に、韓牧師を殺害しなければならないほどの、積極的な動機はうかがえない。保衛部の犯行には間違いないが、上層部からの指示ではなく、下部組織の独断によるものだろうと、情報筋は見ている。

少女らを次々と強姦

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では、殺害の動機は何だろうか。長白教会の女性信者は、臓器密売組織の秘密を探ろうとしたためではないかと見ている。

長白教会から川を挟んですぐの北朝鮮領内には、愛育園と恵山中等学院がある。いずれもコチェビ(浮浪児)や孤児を収容する施設だが、厳しい監視と教師による暴力が日常化している。実際、昨年2月には中等学院の教師2人が、女子生徒17人を強姦していたことが明るみに出ている。

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生徒たちは、冬は寒さを凌ぐために施設にいるが、暖かくなれば施設から出てしまう。

昨年から今年にかけての冬にも、中東学院の生徒が川を越えて韓牧師のもとにやって来た。

施設で横行している虐待行為について話すと同時に、生徒3~4人が教師によってワンボックスカーに乗せられ、どこかへ連れていかれたきり行方がわからなくなっていると伝えたのだ。

教師たちは別の生徒たちに「あいつらのことを聞かれたら『集団生活が嫌で逃げた』と答えろ」と指示していたという。

それをきっかけに韓牧師は、恵山中等学院、両江道(リャンガンド)の保衛部がグルになって、中国の臓器密売組織に生徒たちを売り飛ばしているのではないかという疑いを持つようになり、教会の屋上から望遠鏡で監視するようになった。それで殺されたのではないかというのだ。

一方、別の見方もある。

「地下教会」計画

まず、生徒たちは、臓器売買のために売り飛ばされたのではなく、鉄道建設の現場で働かされているというものだ。

恵山からほど近い三池淵(サムジヨン)郡では「白頭山観光鉄道」の工事が大々的に行われているが、現場では死亡事故が多発しているため、いなくなった生徒たちは、事故に巻き込まれ死亡したのではないかというのである。

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また、韓国のキリスト教放送(CBS)は、対北朝鮮情報筋を引用し、北朝鮮国内での地下教会の設立計画が事前に保衛部に漏れたことで、韓牧師は殺害されたのではないかと伝えている。

韓牧師は、恵山市の地下教会の関係者と接触する過程で、殺害されたというのだ。長白教会は、地下教会を設立するために米国のある団体から資金援助を受けていたとも報じた。

実際、長白教会所属の朝鮮族の執事4人が、北朝鮮に密入国、地下教会を準備する過程で摘発される事件が起きているとも指摘した。うち3人は釈放されたものの、1人は依然北朝鮮に抑留されているという。