先述のカービー氏や朴槿惠氏への非難は、「声明」として掲載されているが、オバマ氏への非難は、あくまでも「一労働者の声」として掲載されている。さらに、記事は朝鮮語のみである。朝鮮中央通信に掲載される記事は、多くが「英語・中国語・スペイン語・日本語」の4カ国語に翻訳される。しかし、当該記事の外国語版は掲載されていない。
「声明」ではなく、「一市民の声」として、「朝鮮語」のみでオバマ氏を罵倒しながら、その反応を伺っているかのようだ。つまり、あえて差別的表現でオバマ氏を罵倒し、米国や国際社会の反応を探る。大きな問題となれば、「これはあくまでも一市民の声である」と逃げ道を用意するという、なんとも姑息な手段とも言える。
しかし、国際的な孤立を深め、「非常識な国家」というレッテルを貼られている北朝鮮が、なぜ、火に油を注ぐような差別的表現で、オバマ氏を罵倒したのだろうか。その背景には、核とミサイルをちらつかせても、一向に目もくれない米国への「反発」と「苛立ち」が見え隠れする。
ホワイトハウス「とりわけ醜悪」
先月、オバマ氏はアジア各国を歴訪した。これに合わせて北朝鮮は、ミサイル発射を強行し、核実験をちらつかせるなど、威嚇行動に出たが、それ以上の目立った挑発はなく(出来ず?)、オバマ氏はアジアを後にした。日本、韓国との会談では、北朝鮮問題に一定の憂慮を示したものの、米国の北朝鮮に対する関心はそれほど高くもなかった。
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