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金正男氏の息子、マレーシアでDNA採取か…「特殊部隊に変装」と報道

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13日にマレーシアで殺害された北朝鮮の金正恩党委員長の異母兄・金正男(キム・ジョンナム)氏の長男の金漢率(キム・ハンソル)氏が、すでに現地の病院でDNAサンプルの採取・提供を終えているとの情報が出てきた。22日、マレーシアの華語紙・中国報が伝えている。

同紙は消息筋の話として、20日夜にクアラルンプール国際空港に到着したハンソル氏は、身辺保護と取材攻勢を回避する目的から、警察特殊部隊(STAFOC)のユニフォームと覆面を着けて空港を離脱。その後、サブマシンガンで武装した同隊員らに護衛されてクアラルンプール病院を訪れ、DNAサンプルの採取を行ったという。

「煙たい存在」

この日、空港にも病院にも内外の記者200~300人が殺到していたが、どうやら空港では、記者陣が根負けしたところでハンソル氏の離脱が行われたということのようだ。また病院でも、特殊部隊員に偽装したハンソル氏をメディアが見破れるはずもない。

これに先立ち、マレーシア当局は「遺体を家族に引き渡すにはDNAサンプルの提供が必要」「まだ、引き取りを申し出た家族はいない」とアナウンスしている。報道はこれと矛盾しているが、混乱回避とハンソル氏の安全を優先するマレーシア当局が、「方便」をもってメディアを煙に巻くのは大いにあり得ることだ。

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事実はこれから明らかになるだろうが、いずれにしても気になるのは、ハンソル氏ら正男氏の遺族の今後だ。

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筆者は、正男氏の殺害後にハンソル氏が自動的に「次のターゲット」になるかのような論には与していない。正男氏は、若年の正恩氏が見ることのできなかった時代の祖国と父・金正日総書記の姿を知る人物だ。父とともに様々のものを見聞きし、多くの言葉を交わしている。つまり正男氏は、正恩氏の知らないことをたくさん知っているのである。

北朝鮮の指導者は、先代の思想と教えを独占的に解釈することで独裁を保っている部分がある。そういう意味で、正恩氏にとって正男氏は「煙たい存在」だったと思われる。だからこそ、「権力とは距離を置く」と繰り返し表明しながら、弟から敵視され続けたのではないか。

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一方、ハンソル氏には父親のような経験はない。

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ただ今回、身の危険を顧みずにマレーシア入りしたハンソル氏が、今後も堂々とした行動を取り続けるのならばどうか。父親の非業の死に接した正男氏の子供らが、祖国の在り方を深く考え、行動するようになるのはあり得ることだ。

そして、そのような行動は北朝鮮ではあり得ない「逸脱」と捉えられ、危険視されるのである。

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しかしそれでも、北朝鮮問題の当事者たる同国民の行動なくして、あの国が変わり得ないのも事実だ。ハンソル氏が今、何を思っているのか、ぜひとも肉声を聞いてみたいものだ。