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金正男氏「暗殺部隊」幹部まで「ミンチ」にする正恩氏の残虐性

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北朝鮮でまたもや国家機関の幹部らが高射銃で処刑されたという。しかも、今度は金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件に関与したと見られている北朝鮮の秘密警察の幹部らだ。

人体が原形とどめず

韓国の国家情報院(以下、国情院)は先月27日、金正男氏殺害事件の容疑者と見られる北朝鮮国籍の8人のうち、4人が国家保衛省(以下、保衛省)、2人が外務省にそれぞれ所属していると明らかにした。さらに、国情院によると保衛省の次官級幹部5人以上が高射銃によって処刑されたという。

事情通によると、高射銃で使用される14.5ミリ口径弾は「1発でも当たれば、人体の一部が吹き飛ぶ。発射速度の速い機関銃で打てば、粉々になり原形をとどめないだろう」という恐るべきものだ。金正恩氏は執権以後、この銃火器によって朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の高級幹部であろうと、人間を文字通り「ミンチ」にする残忍な方法で処刑してきた。

(参考記事:玄永哲氏の銃殺で使用の「高射銃」、人体が跡形もなく吹き飛び…

保衛省は金正恩式恐怖政治を支える忠実なる機関として、粛清や処刑を実行する。また、政治犯収容所の運営も担う。処刑情報が事実なら、金正恩体制では保衛省でさえも安泰ではないことを意味する。

(参考記事:謎に包まれた北朝鮮「公開処刑」の実態…元執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

女子大生を拷問

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国情院は、保衛省の次官級幹部の処刑情報と同時に、同省のトップだった金元弘(キム・ウォノン)氏が失脚し、軟禁状態にあるとの情報も明かした。金氏は、保衛省のトップとして君臨し、多数の幹部を処刑場に送り込んだといわれている。すなわち金正恩式恐怖政治の実行役とも言える人物だった。しかし、2月はじめに失脚したとの情報が流れていた。

北朝鮮の報道からも、金元弘氏が表舞台から姿を消したことがうかがえる。まずは北朝鮮の労働新聞が昨年4月15日に配信した下の写真を見て欲しい。

金正恩氏の右から2人目が金元弘氏(2016年4月15日付労働新聞より)

金正恩氏をはじめとする北朝鮮の指導層は、金日成・正日氏の生誕記念日や命日に二人の遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を訪れ、この様子は同国の国営メディアで写真付きで報じられる。たいていが上の写真のように正面のショットであり、そこからその時の正恩氏の側近の顔ぶれや、彼らのパワーバランスを推し量ることが出来る。

一方、次に紹介するのが今年の金正日総書記の生誕記念日(2月16日)に、金正恩氏と指導層が錦繍山太陽宮殿を訪れた時の写真だ。

錦繍山太陽宮殿を参拝した北朝鮮の指導層(2017年2月16日付労働新聞より)
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遠目からのいわゆる引きのショットだ。少なくともこの写真からは金元弘氏の存在は確認できない。おそらく通例の正面のショットだと金氏がいるかいないかの確認が容易であることからそれをわかりづらくする、もしくは隠蔽するために遠目からの写真を掲載したと筆者は見ている。

国情院が述べたように金正男氏殺害に関与したとされる機関のトップが軟禁状態にあり、幹部らが高射銃で処刑されたとなると、治安機関内でなんらかの異変が起こっている可能性も否定できない。

いずれにせよ、保衛省は強引な捜査手法で多くの人物の恨みを買っている。捜査過程で韓流ビデオのファイルを保有していたという容疑だけで女子大生にすら拷問を加えるほど残忍な機関だからだ。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

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住民から恐れられ忌み嫌われている保衛省のトップである金元弘氏が失脚し、幹部らが処刑されたとすると、多くの人が溜飲を下げるかもしれない。

しかし、保衛省内部になんらかの異変があったからといって、それは金正恩が恐怖政治の手をゆるめたり、終わらせたりすることを意味してはいない。そもそも、保衛省は金正恩氏の指示を忠実に実行していただけに過ぎない。

北朝鮮の頂点に金正恩氏が君臨する限り、今後も恐怖政治は続いていくのだ。