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金正恩氏に追い詰められ死を選んだ、ある一家の悲劇

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国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は先週、複数の脱北者が雲南省で中国当局に逮捕されたと発表した。一方、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、韓国を目指して移動中だった脱北者一家が雲南省で中国公安当局に逮捕された後、自ら命を絶ったと報じた。状況からして、これらは同一の事案だと思われる。

中国・遼寧省の朝鮮族情報筋によると、この脱北者一家は父母と息子1人、娘2人の5人家族だ。今月初めに国境を流れる川を渡って脱北し、吉林省延辺朝鮮族自治州延吉に向かった。そして他の脱北者家族と合流し、17人で第3国(ラオス)を目指して移動していた途中、雲南省昆明で公安当局に逮捕された。

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一家5人は、北朝鮮に強制送還される途中で服毒し、全員が死亡した。漢族の脱北ブローカーによると、父親が万が一のために所持していた青酸カリを飲んだものと思われる。

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父親としては、強制送還後に本国で待ち受ける息子と娘たちの運命を考えたとき、そうせざるを得ないと判断したのかもしれない。

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金正恩党委員長は昨年来、脱北者の徹底取り締まりを厳命している。この一家の悲劇も、その無慈悲な命令に追い込まれた末のものであると言うことができる。また、中国における脱北者の取り締まり強化は、現地における彼らの立場をますます弱め、様々な2次被害につながっている。

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一家と行動をともにしていた別の脱北者家族は公安局に勾留され、すでに北朝鮮に強制送還された可能性がある。

世界北韓研究センターの安燦一(アン・チャニル)所長は聯合ニュースの取材に、中国の対北朝鮮筋の話として、父親は50代で、労働党傘下の地方機関の幹部だったと述べた。

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延辺朝鮮族自治州の別の朝鮮族情報筋によると、彼らはいずれも韓国を最終目的地としており、北朝鮮に強制送還されれば死刑を含む重罪に問われた可能性が高い。

中国当局は、脱北者の多い中国東北地方と、主要脱北ルートとなっている雲南省で、脱北者の取り締まりを強化している。

瀋陽市公安局は17日、郊外の農村地域において大々的な取り締まりを行った。また、遼寧省丹東や黒竜江省牡丹江でも取り締まりを行い、多数の脱北者を逮捕した。また、雲南省でも公安局が駅頭や主要な通り沿いに検問所を設置し、少しでも脱北者と疑わしきものがいれば有無を言わさず逮捕している。

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地元の朝鮮族の間では、中国政府が急に脱北者の取り締まりを強化した理由がわからないとして、政府のやり方に対して当惑、疑問、批判の声が上がっている。

前述の安所長は、中国公安当局と北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)は今年3月から合同で脱北者の検挙作戦を行っており、多数の逮捕者が出ているのは作戦が最終段階に達したためだとした。また、この作戦の目的について、高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD」の在韓米軍配備を進める、米韓への報復の一環として進められたと述べた。

一方で、東国大学北朝鮮学科の高有煥(コ・ユファン)教授は、今の情勢と関連して取り締まりが強化されたという証拠がないとして、中国当局が今までもやってきたことに過ぎないとしている。

いずれにしても、中国は脱北者の人権より北朝鮮当局との協調を優先することで、核兵器開発を進める金正恩体制の存続をほう助しているのである。

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