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実はミサイルより「ドロボー」で忙しい金正恩氏の「腹ペコ軍隊」

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中朝国境地帯の中国側では、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士による窃盗、強盗が相次いでいる。兵士たちはろくに食料の供給を受けられず、空腹に耐えかねて国境を越えてくるのだ。中国当局は警備を強化しているが、犯罪の発生を防ぎきれずにいるようだ。

不良兵士がマフィア化か

そんな現状を受けて、地域住民は自警団を結成して対応している。

国境を流れる鴨緑江を挟み、北朝鮮の両江道(リャンガンド)と向かい合う吉林省の長白朝鮮族自治県。現地の住民によると、県の中心から北東に10〜15キロのところにある二十道溝村、二十一道溝村の村民が自警団を結成したという。

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これらの村では昨年冬にも自警団が結成されたが、氷が溶けて川を渡るのが難しくなり、犯行が減ったため解散となっていた。ところが、越冬用の食糧が底をつく春窮期を迎えた頃から再び犯罪が増えたため、再結成となった。

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特に今年の北朝鮮は日照りが深刻で、農産物へのダメージが取り沙汰されている。そのような状況の中、国境の中国側でも窃盗の被害件数が増えているという。

このように書くと、主に畑の野菜や果物が盗まれていると思うかもしれない。しかし実は、二十一道溝村では今年5月だけでもオートバイ11台、耕運機3台、牛2頭が盗まれた。監視カメラの映像を分析した結果、すべて朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士の犯行であることがわかった。これは、いっぱしの「窃盗団」というべき内容である。

北朝鮮の軍隊は軍紀びん乱の極みにあるとされるが、今や不良兵士がマフィア化に向かおうとしているのかもしれない。

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このような状況に対して、中国の長白県公安局(警察署)は手をこまねいて見ているだけだ。そればかりか、北朝鮮の兵士に出くわせば、逃げてしまう有様だ。飢えに苦しんだ末の犯行であるため、下手に手を出すと何をされるかわからないというのがその理由だ。

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中朝国境の中国側では、北朝鮮で食料不足が深刻だった1990年代後半から、朝鮮人民軍の兵士による窃盗、強盗が相次ぐようになった。中でも2014年12月に起きた強盗殺人事件は、中国国内でも大きく報道され、社会に衝撃を与えた。

これは北朝鮮の兵士が、カネと食糧目的で民家に押し入り、70代の老夫婦など4人を射殺したというものだ。香港の鳳凰網によると、地元政府は1家族あたり1万元(約16万4000円)の見舞金を手渡したが、「政府に責任はない」としたため、遺族は強く反発した。また、北朝鮮当局は3000ドル(約33万円)の賠償金を支払うことにしたが、遺族は受取を拒否した。

遺族は全人代期間中だった翌年3月、北京の外務省を訪れ、問題の解決を訴えるなど、大きな騒ぎとなった。中朝国境沿いに住む人々にとっては、核兵器やミサイルよりも大きな北朝鮮の脅威にさらされているのだ。

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