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北朝鮮「拉致組」が潜む「魔のホテル」で行われていること

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北朝鮮の国家保衛省(秘密警察)が、脱北者を強制的に連れ戻すために、中朝国境都市のホテルに陣取って作戦を遂行している状況がデイリーNKの取材により明らかになった。

北朝鮮の金正恩党委員長は昨年、「反共和国(北朝鮮)謀略勢力を、手段と方法を問わずに捕らえよ」との指示を出した。これを受けて、国家保衛省(秘密警察)、偵察総局、人民保安省(警察庁)などは、脱北者家族の懐柔から強硬手段までを動員し、脱北者の連れ戻しに躍起になっている。

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とくに注目されるのが、各省の選抜メンバーで作られた「拉致組」が、中朝国境地帯の中国側で脱北者の拘束に乗り出しているとの情報である。

その拠点となっているのは、遼寧省丹東のホテル「L」だ。丹東駅から500メートルほどの所にあるこのホテルの周囲は、北朝鮮から来た商人などが利用する商店や大型スーパー、ホテル、レストランなどが密集しているエリアで、拉致のターゲットとした脱北者の動向を監察するのに最適の立地だ。また、宿泊費も1泊200元(約3300円)前後で、経費に余裕がないと見られる北朝鮮の要員には手頃である。

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現地の対北朝鮮情報筋によると、このホテルは北朝鮮の貿易関係者、企業所の代表などもよく利用している。保衛省の要員はビジネスマンを装って活動しているため、見ただけでは区別がつかないという。

また、このホテルには、中国外務省の丹東外事弁公室が入居している。中国の主権を侵す活動を行う拠点と、中国の権益を守るための外務省の事務所が同じホテルにあるのはなんとも皮肉なことだ。

拉致組がもうひとつの拠点としているのは、やはり丹東市内にあるホテル「R」だ。国境を流れる鴨緑江から通りを一本入ったところにあり、観光客が非常に多いエリアにある。広場を挟んだ斜向かいは、丹東最大の北朝鮮レストラン、高麗館だ。

情報筋によると、拉致組は北朝鮮国内情報の国外流出を防ぐために脱北者のみならず、中国人や韓国人も監視の対象としている。

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ある拉致組は、韓国人観光客を尾行、盗聴、監視しており、総責任者から司令が下されば「L」に陣取ったグループと合流して本格的な拉致作戦に乗り出す。

彼らによる犯行の事例として挙げられるのが、昨年起こった韓国在住の脱北者の拉致事件だ。

この脱北者は、北朝鮮の貿易業者と会う目的で丹東郊外の虎山長城に向かったが、貿易業者を装った保衛省の要員に拉致されてしまったとされる。虎山長城は中朝国境沿いにあり、人気観光地とは言え場所によっては人気(ひとけ)が少ないことから、拉致に適した地点と言えよう。

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中朝国境から離れた地域でも拉致事件が起きており、現地の状況は非常に緊張していると情報筋は述べた。

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