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男女密会に殺人事件も…北朝鮮版「民泊」のアブナイ実態

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マンションなど一般住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める「民泊」を本格解禁する住宅宿泊事業法案(民泊法案)が今月10日に閣議決定された。今国会で成立し、年内に施行される見込みだ。

不倫の現場

北朝鮮は自国民の自由な国内移動を認めていないが、全国に自由市場が数百カ所も出来たこともあり、出張に出る人は増えている。そういった際には、「待機宿泊」とよばれる宿を利用する。このような宿ができ始めたのは、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の頃だという。

北朝鮮の鉄道は電化率が8割に達しているが、1990年代から深刻化した電力不足のせいで、運行中の列車が何日も止まったままになってしまう事態が当たり前になっている。乗客は列車から降りて、再び動き出すまでひたすら待ち続けなければならない。

(参考記事:東京から岡山まで10日!? 電力難が招く北の「鉄道崩壊」

そこに目をつけたのが、駅周辺に住む住民だ。自宅の一室を、列車を待つ乗客に宿として提供するようになったのだ。儲かると評判になり、このような民宿が次から次へとできた。ちなみに「待機宿泊」とは、列車が動くまで待機する乗客を宿泊させることに由来している。

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当初は一部地域でのみ見られるものだったが、2000年ごろから全国に広がり、今では駅前以外のロケーションでも数多くの宿が営業している。とりわけ、市場への統制が緩和された2010年以降は、各地を行き来する商人が増え、民宿も増加した。

しかし、家族以外の人を自宅に泊める行為は違法だ。友人を泊めるだけでも人民班(町内会)に供えられた宿泊登録台帳に記入しなければならないと定められているのに、見知らぬ人を泊めたとなれば、かなりの問題になる。保安員(警察官)の宿泊検閲(家族以外の人がいないか確認する自宅訪問)にひっかかれば、罰金を払わされるはめになる。

こうした問題を解決するのに用いられるのが、毎度おなじみのワイロである。自宅で宿泊業を行うには、管轄の保安署(警察署)とのコネが欠かせない。あらかじめワイロを払ってコネを作り、取り締まりの手を緩めてもらうのだ。

待機宿泊は、不倫をしている男女の逢瀬の場としても使われる。中には、そのような使われ方を許さず保安署に通報するオーナーもいるようだが、ほとんどは目をつむるそうだ。

(参考記事:北朝鮮で「サウナ不倫」が流行、格差社会が浮き彫りに

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さらには、売春の舞台ともなる。両江道の恵山市では2014年、自宅で宿泊業を営みつつ、売春の斡旋をしていた60代男性とその手伝いをしていた20代の大学生が摘発され、銃殺刑となった事件が起きている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

そして、このような民宿では悲しい事件も起きている。

2000年代中盤に、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)市でのことだ。市内中心部から少し離れたところにある民宿に中年の男が訪ねてきた。そして、「他の部屋の宿泊費を払うので、一人で泊まりたい」などと持ちかけて、一泊することになった。

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翌朝。男は姿を消していた。そして、主人の娘が遺体となって発見された。

この話が市内に広がり、恐怖のあまり、民宿を畳む家が続出した。平城と言えば、全国有数の卸売市場がある物流の拠点。商売でやって来た商人は、どこに行っても宿泊を断られ、路頭に迷うはめになったという。

このような事件が起きたこともあり、宿泊業を営む家には腕力の強い男性がいなければならない。客の中には、犯罪者とまではいかなくとも、酒に酔って暴力を振るったりする者もいるからだ。

また、戸締まりは厳重にしなければならない。盗難除けということもあるが、客の中には、泥棒とグルになってわざと荷物を盗ませて、主人から賠償金をふんだくる者もいるということだ。

ちなみに宿泊料だが、都市によって千差万別である。

平城駅周辺では、素泊まりが1泊5000北朝鮮ウォン(約65円)、朝食付きで1万北朝鮮ウォンだ(約130円)。市場周辺なら1000北朝鮮ウォン(約13円)ほど割増になる。一方、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)駅周辺では、3000北朝鮮ウォン(約39円)ほどと割安だが、1部屋を7〜8人で使う雑魚寝だ。

両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)の駅前が5000北朝鮮ウォン、郊外の蓮峯洞(リョンボンドン)や馬山洞(マサンドン)では3000北朝鮮ウォン、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)でも5000北朝鮮ウォンだ。一方、農村地域の両江道の大紅湍(テホンダン)郡では2000北朝鮮ウォン(約26円)からとかなり安い。

平安北道の博川(パクチョン)在住の華僑によると、市内には最高級施設の民宿もあり、宿泊料は一般の民宿の20倍もする。利用客は主に金持ちの華僑だとのことだ。