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「金正恩はチビでデブ」わざとツイートしたトランプ氏に、北朝鮮の反撃は?

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北朝鮮は2011年末に故金正日総書記が死亡し、3代目の金正恩体制となって以降、対立する国家元首に対し繰り返し口汚い罵声を浴びせてきた。

たとえば、韓国の朴槿恵前大統領に対しては「ずるがしこい売春婦」。日本の安倍晋三氏に対しては「精神病者」などと言った具合だ。とくにひどかったのがオバマ米大統領に対するもので、引用するのさえはばかられる「ヘイトスピーチ」そのものだった。

(参考記事:北朝鮮が差別表現でオバマ氏を罵倒する理由

トランプ現大統領に対しても同様で、「治癒不能の精神病者」「老いぼれ」などと罵ってきた。

正恩氏の「ヘンな写真」も

しかし、一方のトランプ氏も負けてはいない。同氏はベトナムの首都ハノイを訪問中の12日、金正恩党委員長についてツイッターに次のように投稿した。

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Why would Kim Jong-un insult me by calling me “old,” when I would NEVER call him “short and fat?” Oh well, I try so hard to be his friend – and maybe someday that will happen!

和訳すると、「金正恩はなぜ私を『老いぼれ』と呼んで侮辱するのか。私は彼を『チビでデブ』だとは決して言わないのに。まあ、しょうがないから友達になれるよう頑張ってみるさ。いつかそんな日が来るかもな!」といった意味になる。

これについて、一部のメディアは〈トランプ氏がツイート、金正恩氏と「友人になるかも」〉などのタイトルの下に報じたが、筆者の解釈は、これとはニュアンスがだいぶ異なる。

投稿の前半は、北朝鮮の外務省報道官が11日、トランプ氏のことを「気が狂った老いぼれ」と揶揄したことに反発したものだろう。自分は侮辱的なことを言っていないという体裁を取りつつ、金正恩氏は「チビでデブである」と敢えて言及したものと思われる。

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また、トランプ氏は8日、韓国国会で行った演説で、北朝鮮が最も敏感に反応する国内での人権侵害に長時間にわたり言及。金正恩氏を「残酷な独裁者」と非難している。金正恩氏は、すでに米国から人権問題で制裁指定されており、国連においても「人道に対する罪」により訴追される可能性が取りざたされている。米国の大統領がそのような国家指導者と「友達」になれる可能性はゼロに近い。

従ってツイートの後半部分は、北朝鮮に対話を促すための方便か、「友達になれる日は来そうもない」との考えを、裏返しにして強調した可能性がある。

そもそも、全世界の見守る中で「チビでデブ」と呼ばれた金正恩氏が、トランプ氏と「友達になりたい」と考える可能性こそゼロに近いだろう。金正恩氏がこのツイートを知り、怒りを爆発させたであろうことは想像に難くない。

(参考記事:金正恩氏が「ブチ切れて拳銃乱射」の仰天情報

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興味深いのは、北朝鮮メディアがこのツイートにどのような反応を見せるかだ。北朝鮮メディアの重要報道は、金正恩氏が直接統括していると見て間違いない。そうでなければ、金正恩氏のヘンな写真が次々に公開されるなど考えられないからだ。

(参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

トランプ氏の今回のツイートは、それなりに練られた「反撃」だったと言える。さて、金正恩氏はこれに対し、どれほど気の利いた「再反撃」を繰り出せるのだろうか。