この際、韓国側はもちろん、3人それぞれにリムジンを付けるなどして歓待した。問題は、迎えに到着したリムジンに乗る順番だった。北朝鮮は何事も「序列」を重んずる国であり、いちばん先に到着した「1号車」に乗る者が一行のうちで「最もエライ」ということになる。
崔氏と黄氏はこの「1号車」を巡り、押し合いへし合いの争奪戦を繰り広げたというのである。ちなみにこの時点では、黄氏の方が国内での序列は上であり、崔氏が挑戦を試みた形と言えた。その結果はどうだったか。黄氏が乗り込んだ「1号車」の隣の席に、崔氏が半ばむりやり同乗したという。
このようなエピソードを踏まえてみると、今回の検閲の背景には2人のライバル関係、あるいは何らかの「私怨」が作用しているとも考えられる。