死傷者1500人、龍川大爆発事故…北朝鮮「暗殺未遂説」のミステリー

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「まず、金正日が通過する路線上に、可燃物と爆発物を積んだ貨車が2両も、しかも近接して存在すること自体、考えられません」

こう語るのは、金正日の警護体制に詳しい、脱北した元北朝鮮当局者である。

「金正日の警護を司る護衛司令部には鉄道担当部が設置されていて、大勢の駅員、列車乗務員、整備工までが配属されています。金正日が列車で移動する際には、すべての一般鉄道員を隔離して彼らだけで運行する。線路の点検と爆発物探知は人民保安部と国家保衛部が1週間前から徹底して行い、危険物を積んだ車両は本番の前日から移動が禁じられます」

ということは、爆発の原因となった油槽車と硝安を積んだ貨車は、金正日の通過時にも龍川の引き込み線上にあった可能性が高い。水も漏らさぬ警備体制の中、「危険車両」が2両も通過ルートに並んでいたという事実は、余計に作為の介在を疑わせる。

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仮に「テロ計画はあった」ということを前提に想像を巡らせて見ると、相当に周到な準備がなされていたとの印象を受ける。

死傷者1500人以上の悪夢

ふたつの車両が置かれていた引き込み線は、金正日が通過した本線から100メートル離れた所にある。一応「隔離措置」の体裁は整えられている上、硝安の爆発力をもってすれば、金正日を確実に「射程距離」に捉えられる。