北朝鮮国内では昨年10月、制裁の影響で、市場の物価が一斉に上昇している。これについて当局の幹部は「中国も、米国や日本と同じ朝鮮民族の仇敵」と触れ回り、反中感情を煽ったという。
しかし、今までなら非公式に中国を「ネタ」にすることはあっても、公式の場では非常に注意深く言及していた。国境警備隊や地域住民を対象にした会議や講演で、国内外の情勢について語りつつ、やんわりとした中国批判を混ぜる程度だった。ところが今回は公式の場で過激な表現を使ったことで、驚きが広がっているのだ。
反中感情を煽る方針は、平壌での会議や情勢講演で伝えられ、各地方に広まっていく。その媒介として女性同盟が選ばれたのは、彼女らの家庭や社会での影響力の強さ、つまり口コミのインフルエンサーと見込まれたためだという。
(関連記事:金正男氏の「殺害情報」を広める「情報通の奥様」たち)講演で語られた中国非難は、当局が意図したとおりに市民の間に広がり、様々な反応が噴出している。「北朝鮮が経済的に依存する中国を排斥しようとするなんて、一体何をどうしようというのか」という反応がある一方で、「二枚舌を使い分ける中国を警戒すべき」という反応も見られると情報筋は語る。北朝鮮が苦しい立場に立たされたのを利用して利益を追求しているとして、「腹黒ブタ」という表現を使ってバカにする人もいる。