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「日本は百年の宿敵、中国は千年の宿敵」北朝鮮で反中感情

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北朝鮮当局は昨年末、全国各地で朝鮮民主女性同盟の会議を開催した。その場で飛び出したのは、中国に対する憎悪を煽る発言だった。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、昨年12月に政府の指示で清津(チョンジン)市の各洞(町)で女性同盟の会議が開かれた。続いて行われた政治学習では、国内外の情勢に関する講演会が開催された。

壇上に上がった松坪(ソンピョン)区域の女性同盟幹部は「日本は百年の宿敵、中国は千年の宿敵」という表現を使い、中国への警戒心を高めるよう聴衆に求めた。この過激発言に会場からはどよめきが起きたという。

現在の北朝鮮では、ほとんどの市民が中国製品を中国人民元で売り買いして生計を立てている。しかし北朝鮮当局には、生活苦による不満が自分たちに向かうのを避けるため、人々の目を外部に向けようとしているようだと情報筋は語った。

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北朝鮮国内では昨年10月、制裁の影響で、市場の物価が一斉に上昇している。これについて当局の幹部は「中国も、米国や日本と同じ朝鮮民族の仇敵」と触れ回り、反中感情を煽ったという。

しかし、今までなら非公式に中国を「ネタ」にすることはあっても、公式の場では非常に注意深く言及していた。国境警備隊や地域住民を対象にした会議や講演で、国内外の情勢について語りつつ、やんわりとした中国批判を混ぜる程度だった。ところが今回は公式の場で過激な表現を使ったことで、驚きが広がっているのだ。

反中感情を煽る方針は、平壌での会議や情勢講演で伝えられ、各地方に広まっていく。その媒介として女性同盟が選ばれたのは、彼女らの家庭や社会での影響力の強さ、つまり口コミのインフルエンサーと見込まれたためだという。

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講演で語られた中国非難は、当局が意図したとおりに市民の間に広がり、様々な反応が噴出している。「北朝鮮が経済的に依存する中国を排斥しようとするなんて、一体何をどうしようというのか」という反応がある一方で、「二枚舌を使い分ける中国を警戒すべき」という反応も見られると情報筋は語る。北朝鮮が苦しい立場に立たされたのを利用して利益を追求しているとして、「腹黒ブタ」という表現を使ってバカにする人もいる。

ちなみに、中国当局は脱北者を摘発して強制送還しており、それにより北朝鮮当局の国民に対する人権侵害を助長している。その事実を北朝鮮国民のほとんどは知らないと思われるが、いずれ情報が出回れば、反中感情を増大する要素になりかねない。

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別の情報筋によると、政府が意図的に反感を煽ったせいで、北朝鮮国民の間では最近、反日感情より反中感情の方が強くなっている。「(経済的には)日帝時代(日本の植民地時代)の方がよかった」と言われるような状況に加え、北朝鮮における日本のプレゼンスは中国と比べ物にならないほど小さいこともあるだろう。

一方で中国は、北朝鮮の市場をほぼ完全に手中に収め、兄貴風を吹かせて何かにつけてとやかく言うなど、絶大なる存在感を示している。北朝鮮当局からすると、不満のはけ口には持ってこいの相手だ。

ちなみに、このようにして反中感情が高まるたび、在北朝鮮華僑がスケープゴートにされてきた経緯もある。

(参考記事:中国の不法漁民に凄惨な私刑…「北朝鮮海賊船」の過激な実態