DAILY NK JAPAN

「北朝鮮労働者に帰ってきてほしい」中国企業のホンネ

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

国連安全保障理事会が採択した制裁決議に加え、中国政府の指示により、中国企業は北朝鮮労働者との雇用契約を取りやめている。貴重な働き手を失った中国企業は、中国国内の労働力で穴埋めを図っている。

中国在住のデイリーNK対北朝鮮情報筋によると、遼寧省丹東市の東港の水産物加工工場やビール会社では、多数の北朝鮮労働者を雇い入れて生産を行ってきた。

ところが中国政府は、国連安保理で採択された制裁決議2371号の履行の一環として、北朝鮮労働者の就労ビザ延長を不許可とした。また、地方当局は企業に北朝鮮労働者の雇用契約を解除するよう圧力をかけている。

各企業は、北朝鮮労働者を辞めさせざるを得ない状況に追い込まれた。当局の姿勢を見て「北朝鮮労働者を雇うのは当面無理だろう」と判断し、対策に乗り出した。それは、黄海を挟んで遼寧省と向かい合い、1億に迫る人口を擁する山東省から労働者を受け入れることだ。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

山東省の労働者の魅力は、賃金の安さにある。月給は2500元から3000元(約4万3000円〜5万2000円)で、北朝鮮労働者に支払っていた額とほぼ同じだ。また、北朝鮮労働者とは違い、管理に手間がかからないというメリットもあると思われる。

丹東の企業が人手を求めているという話が広まり、山東省からは労働者が続々と向かっているとのことだ。

企業の担当者は胸を撫で下ろしつつも、いつかは北朝鮮労働者に帰ってきてほしいと願っているという。

ある水産物加工工場の社長は、北朝鮮労働者のことを「私語もせず黙々と働き、手さばきが速かった」と高く評価し、給料を節約しながら熱心に働いていた彼らを思い出すと申し訳ない気持ちになる、と述べた。

人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真

ビール会社の社長は、労働者たちはつらい仕事をしながら(北朝鮮当局にピンはねされて)、給料を受け取れないこともあり、そんな様子に心を痛めていたが、途中で帰らされることになりかわいそうだ、と述べた。

北朝鮮当局は、企業から労働者の月給を受け取り、寄宿舎費、食費、生活費などの名目でピンはねしたうえで、残りの1000元(約1万7000円)ほどを渡していた。残業や休日出勤の手当は北朝鮮当局の管理者が着服し、労働者の手に渡らないことが多かった。

北朝鮮のもう一つの隣国、ロシアは先月、北朝鮮労働者の新規受け入れを中止する方針を示した。人口減少に悩むロシア極東では、深刻な労働力不足に陥るのではないかとの懸念の声が上がっている。

(関連記事:ロシアも北朝鮮労働者の受け入れ中止…労働力不足の懸念の声も