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死体を大勢の前に運び…北朝鮮軍「公開処刑」の猟奇的な実態

軍服を着た収監者たち(2)

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韓国の北韓人権情報センター(NKDB)が最近発刊した「軍服を着た収監者〜北朝鮮軍の人権実態報告書」によると、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内では兵士らに対する公開処刑が頻繁に行われているという。

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同報告書は、北朝鮮軍に勤務した経験を持つ脱北者70人を対象に、昨年10月から今年1月までの間に聞き取り調査を行った結果をまとめたものだ。

報告書によると、回答者の41.4%は軍勤務期間中に公開処刑を目撃し、21.4%は公開処刑の話を聞いたことがあると答えた。

証言のなかには、見せしめのために一度処刑した兵士の死体を他の兵士が集まっている場所まで運び、再度銃で撃ったというものもあった。

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北朝鮮当局は、見る者に恐怖心を植え付けるため、死刑囚の肉体がズタズタになるまで銃弾を撃ち込む方法で公開処刑を行っている。しかし、「死体を運んでまた撃った」との証言に、筆者は今回初めて触れた。まさに、猟奇的と言うべき行為だ。

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処刑された兵士の多くが階級の低い年少者で、分隊長や中隊長など上官の命令に従って犯罪行為に加担させられたケースであると報告書は分析している。

深刻な飢えに苦しむ北朝鮮軍の兵士らは、協同農場や民家、はては国境の向こうの中国まで出向いて強盗を働くありさまだが、末端の兵士が上官の命令で略奪行為に加担させられるケースも少なくない。

韓国メディアの報道によれば、昨年11月に板門店の共同警備区域(JSA)で銃撃を浴びながら軍事境界線を駆け抜けるという劇的な亡命を決行した元朝鮮人民軍兵士のオ・チョンソン氏は当時、酒を飲んで酔っ払った状態だったとされる。

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東亜日報が1月25日に報じたところでは、韓国の情報機関・国家情報院(以下、国情院)は24日、オ・チョンソン氏は飲酒運転で事故を起こし、処罰を恐れて突発的に亡命を決行したもようであると、国会情報委員会に報告したという。

われわれとしては、「そんなことぐらいで、あんな危険な賭けに出たのか」と思ってしまうが、オ氏はたぶん、公開処刑などの極刑もあり得ると恐れ、亡命を決断したのではないか。

北朝鮮の核武装は厄介な問題だが、こんな状態の北朝鮮軍は、やはり強いとは思えない。金正恩体制の足場は、きわめて脆弱であると考えるのがやはり正解なのだ(つづく)。

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