まずひとつは、時間の節約である。多忙な金正恩氏は、鉄道でのんびり移動するわけにはいかなかったのかもしれない。とくに、北朝鮮国内の鉄道の運行事情は悲惨だ。1990年代から深刻化した電力不足のせいで、運行中の列車が何日も止まったままになってしまう事態が当たり前になっている。
(参考記事:東京から岡山まで10日!? 電力難が招く北の「鉄道崩壊」)しかしもちろん、金正恩氏だけは例外だろう。専用列車が動くとなれば、すべての資源が最優先で供給され、問題なく運行できるだろう。父の金正日総書記が専用列車で訪中する際には、平壌から乗車していたはずだ。
もうひとつ考えられるのは、やはり保安上の問題である。実際、北朝鮮当局は3月20日から、新義州を厳戒下に置いたという。
一般の人と同じトイレを使えない事情のある金正恩氏は、代用品を愛車のベンツに装備しなければならないなど、国内での移動においても不便を強いられている。
(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳)