私の荷物を検査する北朝鮮の税関職員。飲みかけのコーヒーを見つけるやいなや勝手に飲んでしまった。あの心の底から満足したような表情は忘れることができない。
前に来た時は税関でカメラをチェックされ、北朝鮮のイメージを損なう恐れがあると判断された写真はすべて削除された。しかし、今回は携帯電話の持ち込みも許されて検査もさほど厳しくなかった。
しかし、彼らは没収対象ではない物を綿密に検査したがった。例えば中国製のタバコ。ボックスを手にとって何か言い出したので、「あげる」と言ったら大層喜んでいた。
オーストラリア人の荷物はまるで宝探しでもするように、一所懸命ほじくり返していた。いくら探してもめぼしいものは何も出てこない。すると「ドルはあるか。朝鮮のお金に替えてやるぞ」と言い出した。彼は後で「大金持ってこなくて正解だった」と言っていた。