現にデイリーNKの内部情報筋によれば、金正恩党委員長は2016年の末から翌年初めにかけて、職権を乱用して金儲けをするな、住民に対する暴行、拷問などの人権侵害をやめるようにとの指示を下したと伝えられている。
しかし現場では、この指示が徹底されているとは言えないようだ。
キムさんの家族は、留置場での犯罪行為を保衛部の上級機関に告発しようとした。それを知った郡保衛部は、「事件が道保衛部に移管されたら、(脱北の取り調べで)もっと苦しいことになる」と脅迫し、「3万元(約48万7000円)を支払えば、病気扱いにして釈放してやることもできる」と懐柔しようとしたという。
郡保衛部は、金正恩氏の指示に背いた罪で処罰されるのを恐れ、隠蔽に走ったのだろう。それと同時に、これをネタにしてカネをせびり取ろうとしたのだ。