家族は結局、上部機関への通報を諦め、キムさんを守るために3万元を用意するために駆けずり回っているとのことだ。脱北は、射殺されてもおかしくないほどの重罪であることを考えると、カネを払ったほうが得策と考えたようだ。しかしこれでは、泣き寝入り以外の何物でもない。
このように、保衛部がいまだ人権侵害を続けられるのも、金正恩氏が自らの権力を維持するため恐怖政治に依存しているからだ。保衛部は金正恩氏の「拷問部隊」として、恐怖政治の柱となってきたのである。
結局のところ、北朝鮮の人権侵害の原因は、ほとんどが恐怖政治に帰結する。金正恩体制の終焉なくして、北朝鮮における人権状況の改善は望めないのだ。
(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為)