北朝鮮の北部にある両江道(リャンガンド)。蓋馬(ケマ)高原に属し、平均海抜は1000メートルに達する。霜の降りない無霜期間が年間150日に満たず、年間降水量も600〜700ミリと少ない。
そのため、稲作の北限とされている中国の黒龍江省南部より500キロも南にあるのに、稲作はほとんどできない。その代わりに栽培されているのはジャガイモやトウモロコシだが、いずれもあまり現金収入につながらない作物だ。(参考記事:打ち捨てられた「将軍様の革命的ジャガイモ農法」)
現地の農民は様々に知恵を働かせて現金収入を確保しようとしているが、北朝鮮当局の愚策により、彼らの労働意欲は打ち砕かれている。現地のデイリーNK内部情報筋によると、現場となったのは道内のある村だ。農民は、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)から畑を借り受けて、トウモロコシを栽培している。
今月初め、軍の検察所の検事からなる検閲(査察)隊がやってきて、畑の抜き打ち検査を行った。検閲官が目にしたのは、スイカだった。