農民が借りているのは約500坪の畑だ。そのうちの7割にトウモロコシを、3割にスイカを植えている。これでトウモロコシの収穫ノルマも達成し、スイカを売って現金収入を確保するためだ。情報筋は言及していないが、トウモロコシの栽培に必要な肥料や農機具も、スイカを売ったカネで購入しているものと思われる。さもなくば、闇金業者から借りるしか方法はない。(参考記事:利息200%の借金地獄で生きる北朝鮮の農民たち)
普段は涼しい両江道も、今年は猛暑に襲われているが、海抜が1000メートルを超える畑は被害を逃れ、豊作が期待されていた。スイカは1キロ1600北朝鮮ウォン(約20円)から2000北朝鮮ウォン(約26円)で市場の商人に買い取ってもらえる。
スイカを見た検閲官は、「トウモロコシ畑にスイカを植えるのは、党の方針に背く『非社会主義的行為』で『エゴイズムの発露』だ」「土地を貸したのは軍の食糧を確保するためであり、スイカを植えてカネ儲けせよと貸したわけではない。党に歯向かうのなら処罰を覚悟せよ」などと言って、スイカを根こそぎ抜き去ろうとした。