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「首都は問題ないが地方はかなり苦しい」平壌市民が語る制裁下の北朝鮮

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国際社会の経済制裁が、北朝鮮を締め上げていると伝えられる。

韓国の諜報機関、国家情報院は今月2日に行われた国会情報委員会の国政監査で、「対北朝鮮制裁が徹底して行われた場合、2018年には『苦難の行軍』レベルの経済難が到来する」とする一方で、「(今のところは)経済制裁にもかかわらず、なんとかやっているというレベルを維持している」と報告した。

「苦難の行軍」とは、1990年代半ばに始まった大飢饉のことで、少なくとも数十万人、一説には100万人を超える死者が出たとされている。

(参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶

果たして、現在の実態はどうなっているのだろうか。

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デイリーNK取材班は今月半ば、中国の吉林省を訪れた平壌市民(A氏)にインタビューし、国際社会の経済制裁がどれほど人々の生活に影響を与えているかについて聞いた。

インタビューから見えてきたのは、平壌市民はさほど堪えていないが、地方住民にはかなりの影響が出ているということだ。

記者「非常に強力な制裁が行われているが、国内の雰囲気は?」

A氏「コメ、トウモロコシ、生活必需品の価格が上がったが、市民はさほど動揺していない。中国が制裁に同調しているため、中国からの輸入品の価格が上がったものの、高騰というレベルに達する兆しはない」

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記者「国際社会の制裁についての市民の見方は?」

A氏「中国が防波堤になっているのに、まともに制裁できるわけがない、との声が最も多い。中国製の商品を積んだトラックが1日に数十台も入ってきて、生産に必要な資材が輸入されている。資材の供給を受けた工場と企業所は、1日14時間稼働している。皆、『(制裁はしばらく続くかもしれないが)、中国とロシアのおかげで、そのうち終わるだろう』と考えている」

記者「中国とロシアが制裁の効果を薄めている?」

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A氏「咸鏡北道(ハムギョンブクト)羅先(ラソン)の国営ガソリンスタンドでは、ガソリン価格が少し下がったと聞いた。ガソリンスタンドではガソリン1キロ(1.34リットル)が17元(約294円)、闇では14元〜15元(約242円〜260円)で売られているらしい。この情報をくれた人は『中国とロシアから密輸で入ってきたガソリンが、国営スタンドのものより安い、みんなヤミで買っている』と言っていた」

記者「商売への影響は?」

A氏「平壌に関しては大丈夫だ。資材が供給されているから変化はほとんどない。しかし、地方は以前より苦しくなっただろう。品物が入ってこなくなったので、その日暮らしの商人はどうやって食べていくか心配していると聞いた。輸出メインの工場、企業所の労働者も苦しくなったそうだ。一番苦しい思いをしているのは、力のない庶民だ」

記者「電気の供給は?」

A氏「平壌では少し安定した。朝鮮労働党が電力部門に『1日12時間は電気を確保しろ』と指示を下したという話を聞いた。輸出されるばかりだった石炭が内需に回るようになったため、発電ができるようになったからだ。農村でも最近に入って1日平均6時間、電気が供給されるようになり、機械で脱穀を行なうようになった」

問題は貧富の格差

記者「地方でも電気が円滑に供給されている?」

A氏「まんべんなく供給されているわけではない。協同農場では電気が確保されているが、一般家庭は電気の使用を制限されている。国内では『平壌共和国』と言われているほど、平壌と地方の格差が大きい。(平壌での電気供給は安定しつつあるが)問題は冷蔵庫を使う家庭が増えたことだ。配電盤から勝手に電気を引っ張ってきて使っているのが、担当官庁の幹部はそれをネタに『見逃してやるから』とワイロをせびってくる」

このやり取りに見られるように、心配なのは貧富の格差の問題だ。

(参考記事:北朝鮮「金持ち女性」たちの密かな楽しみ…お国の指示もそっちのけ

北朝鮮の食糧事情はかつてに比べ大きく改善しているが、現金収入の乏しい貧困層は、十分に食べ物を買うことができない。市場でのビジネスで潤う人々がいる一方、地方では女性が売春をして家族を養っている例も多い。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち )

国際社会は北朝鮮に圧力を加えながらも、罪のない貧困層から犠牲者が出ないよう、慎重にモニタリングすることが必要だ。