正日氏が後継者の道を歩む過程でとりわけ芸術や文化を最大限利用したことは既に知られているが、そういった背景からも「花を売る乙女」を国家的に大々的に宣伝することは政治的イベントとして大きな意味があったと言える。そして、「花を売る乙女」は、北朝鮮を宣伝するプロパガンダとしては大いに成功したといえる。
しかし、映画本来のテーマである「民衆革命の必然性」は、北朝鮮自らがその後の独裁体制の歩みで否定する。
映画では、コップニが花を売ると同時に民衆に革命の希望と勇気を与えるという感動的なラストで締めくくる。しかし、39年過ぎた今現在の北朝鮮で民衆に希望と勇気を与えるコップニは現れていない。それどころか「別の花」を売る女性が現れているのが今の北朝鮮の現実だ。