北朝鮮の内閣などの機関紙・民主朝鮮は19日、日本の安倍政権が「海外侵略に狂奔している」とする論評を掲載。その中で、日本の自衛隊の攻撃能力は「世界一流」であるなどと評した。
(参考記事:「自衛隊の攻撃力は一流になった」北朝鮮メディア)これ以外にも、北朝鮮メディアは日本の「軍事大国化」を非難する記事を数多く出している。それらはすべて、金正恩氏本人の意思によるものと見て間違いない。北朝鮮のメディア戦略は、同氏が直接指揮していると見られるからだ。
(参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか)では、北朝鮮がこのような主張を繰り返す真意は何か。
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真北朝鮮は本当に、日本が軍事的に危ない存在であると見ているのだろうか。そうではあるまい。
米国とさえ話をつければ自分の身は安全であると考えているから、現在の情勢を作り上げてきたのだ。北朝鮮は日本を米国の「子分」としか見ておらず、本気で警戒しているとは思えない。
それではいったい、何のための主張なのか。その目的はおそらく、短・中距離弾道ミサイルを守ることであると考える。
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真北朝鮮は米国との交渉で、米本土に届く大陸間弾道ミサイルを廃棄することはやむを得ないと考えているはずだ。しかし、日本が主張するように、すべての射程の弾道ミサイルを放棄してしまったら、安全保障上「丸腰」に近い状態になってしまう。朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍紀は乱れきっており、ほかに頼れるものがないからだ。
(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為)だからこそ、日本の軍事的な危険性を言いつのり、弾道ミサイル戦力を保持する理由としているのではないか。中でも、射程2000キロ以上と言われる準中距離弾道ミサイル(MRBM)の「北極星2」については、2017年5月21日、金正恩氏により実戦配備が承認されている。
人気記事:金正恩氏が反応「過激アンダーウェア」の美女モデル写真このミサイルは、固体燃料ロケットを使用するため即応発射が可能で、発射台に無限軌道の特殊車両を使用するため山岳地での運用が可能で隠密性も高く、より射程の長いミサイルよりも日本にとっては脅威度が高いとされる。
心配なのは、米国がもしかしたら、すでに北朝鮮側に譲歩してしまっているのではないかということだ。
ポンペオ米国務長官は24日、CNNテレビの電話インタビューで、北朝鮮との交渉では非核化措置の「期限は設けない」と述べた。日本ではこの発言が「意外」なものと受け止められているような雰囲気だが、果たしてそうか。そもそも、何をどこまでやったら「非核化」が遂行されたことになるのか、米国はまだ、北朝鮮に示せていない可能性が高い。もしそうならば、現時点で期限を設定することは不可能だろう。
それより、このインタビューではもっと気になる言葉があった。ポンペオ氏は正確には、「2カ月であれ6カ月であれ、期限は設けない。首脳間で決めた目標を達成できるよう迅速に取り組む」と説明したのだ。
2~6カ月とは、たとえ仮定の話であったとしても短すぎる。これが、米国側が考える非核化の「サイズ感」であるとしたら、それこそ意外な話だ。
すべての射程の弾道ミサイルを要求しているのならば、非核化が2~6カ月という「サイズ感」に収まるはずがない。
日本政府は今後、北朝鮮ばかりでなく、トランプ政権の動向にも十分注意すべきだろう。
(参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い)