2007年にカンヌ映画祭でも上映された北朝鮮映画『ある女学生の日記』は、大学入学を控え進路に悩む女子学生スリョンの姿を描いたものだ。
数学者である彼女の父親は、妻が癌を患っているにもかかわらず、研究所で仕事に没頭し家に戻らない。スリョンは、そんな父親に不信感を抱き、学校でもトラブルを抱える。
次ページの動画は、父親を侮辱した級友と「ケンカ」する場面。なんともすがすがしい勝負の仕方ではある。
そんなスリョンも、やがて父の研究に大きな価値があると知る。
そして、自身も同じく学究の道を選ぶというストーリーだ。
そこに込められているのは、父母が子どもに残すべき最も大きな財産は名誉や金ではなく、将軍様(金正日総書記)を心から尊敬する良心と義理であるとのメッセージだ。
この映画は、金正恩氏の父・金正日総書記が制作方針を細かく指導したとされ、2006年8月の公開当時、朝鮮労働党機関紙の労働新聞にも取り上げられた重要なプロパガンダ映画だ。
(参考記事:【写真】『ある女学生の日記』の主演女優パク・ミヒャン)